安宅和人著『イシューからはじめよ』を読んだ。以前にも読んだことがある気がするが、内容の記憶が薄れていた折に何処かで紹介されているのを見て、読み直そうと思ったのだ。

この本の核心は、素晴らしいことにその題名に著されている。即ち、深い仮説を持ち、本質的で解決可能な 1% の問題(「イシュー」)を見極めること。本書にはそれを実現するための方法が幾つか紹介されている。

その中でもすぐに活用できそうなのは、良いイシューは「WHY」ではなく「WHERE」「WHAT」「HOW」を問う、という指摘だ。

人間は理解できない事象に出会うと、どうしても「何故」が気になってしまう。昔から人間が理解できない理不尽に悪魔や祟りのような理由付けをしてきたのもその現れだろう。しかし、それらは偽りの安心感を与えても、行動変容、ひいては問題解決には繋がらない。

そもそも解決できない問題ならそれでも良い。だが、解決すべきイシューにも同様の解決を試みるのは、確かに筋が悪い。何故問題が起きたか、という過去に目を向けるのではなく、これから何をすべきか、未来の行動を問う方が解決にまっすぐ繋がる。

本書で述べられている手法や視点は重要だと思う。ただ、それらを自分の日常に上手く適用できるかと問われると、自信は無い。本書でも反応の例に挙げられている「内容はそのとおりだとは思うが、腹に落ちた、真に理解した、という感覚になれない」はまさに本書に対する自分の正直な感想だ。

そこで指摘されている通り、自分にはイシューの経験が不足しているのだろう。自分の日々の判断や行動が本質的なイシューを見極めて解決しているか、時々立ち止まって本書の指南と照らし合わせることから始めたい。