私は、運動と称して、週に2回ダンスダンスレボリューションに興じることを自分に課している。しかしながら、面倒くさかったり時間がなかったり仕事が忙しかったりすると、つい言い訳をしてサボってしまう。しかし、そもそも何故私は運動しなければならないのだろう。

その疑問に明確に答えてくれるのが『人体六〇〇万年史』だ。著者曰く、これは人体が適応してきた環境と現在の環境のミスマッチに起因するディスエボリューションのためだという。現代人の多くが抱える病気、具体的には癌、2型糖尿病、水虫、骨粗鬆症、腰痛をはじめとする多くの病気が、このディスエボリューションに起因していると考えられるという。

この本が単なる健康指南と比べ特徴的なのは、人体が如何に環境に適応してきたかを、進化の歴史から紐解いていることだ。

中でもとりわけ興味深いのは、農業は人口爆発を実現した一方で、人間にとってかなり不安定な環境を作り出したという指摘だ。これまで自分はなんとなく、狩猟を行うのは不安定な生活で、農業が安定した生活をもたらしたのだと何となく信じてきた。しかしながら、著者が指摘する通り、農業で一度不作が起これば大飢饉が発生し、多くの人が餓えで苦しんで死ぬ。それが今日まで起こっている現状を見聞きしていたはずなのに、それでもなお農業の方が安定していると信じ込んでいたのは何故なのか、この本を読んでから改めて考えると奇妙なほどである。

そしてこの本の終盤で強調されていることは、一般的な健康に対する健康に関する助言、即ち適度な運動と食生活が、健康に関して唯一効果的な処方箋だという点だ。他のありとあらゆる対処療法は、ディスエボリューションを加速させるだけだ。私もそのこの連鎖を断ち切らなければならない。

読後、運動の機運が俄に高まってきた。今日はこれから、ゲームセンターで汗を流すとしよう。